消費税を簡易課税制度により計算した方がお得な事業者とは

 

消費税の計算方法には、原則課税と簡易課税の2つの方法があります。

どちらの方法により計算するかは事業者の自由ですが、簡易課税制度により計算するためには一定の要件を満たす必要があります。

また、どちらの計算方法を選択するかにより、納付すべき消費税額、事務負担に差異が生じます。

 

そこで今回は、

  1. 簡易課税制度による消費税の計算方法
  2. 簡易課税制度を適用するための要件
  3. 簡易課税制度を選択するか否かの判断をするための3つのポイント

について順を追って解説していきますので参考にしてみてください。

 

消費税の2つの計算方法

原則課税

消費税の原則課税の計算方法は、事業者が受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて納付すべき消費税額を計算します。

すべての取引を集計した結果、受け取った消費税の方が多ければ納付、支払った消費税の方が多ければ還付ということになります。

 

原則課税の計算方法はシンプルではありますが、正確な消費税額を算出するためには、正確な会計帳簿の作成が必要不可欠です。

 

簡易課税

簡易課税による消費税の計算方法は、原則課税と比べてかなり簡素化されています。

具体的には、受け取った消費税に一定のみなし仕入率を乗じて納付すべき消費税額を計算するという方法です。

支払った消費税の金額は全く関係ありませんので、その計算は非常に楽です。

 

しかし、受け取った消費税にみなし仕入率を乗じるので、絶対に還付を受けることができません。

このみなし仕入率は、売上高を6つの事業に区分して、それぞれの区分に応じた仕入率があらかじめ定められています。

 

事業区分 みなし仕入率
第1種 卸売業 90%
第2種 小売業 80%
第3種 製造業 70%
第4種 その他 60%
第5種 サービス業 50%
第6種 不動産業 40%

 

簡易課税制度の適用要件

簡易課税制度により消費税を計算するためには、

  1. 簡易課税制度選択届出書の提出
  2. 基準期間の課税売上高が5,000万円以下

という2つの要件を満たさなければなりません。

 

簡易課税制度選択届出書

簡易課税により消費税を計算するためには、簡易課税制度を適用しようとする年の前日までに、簡易課税制度選択届出書を税務署に提出しなければなりません。

例えば、個人事業者が平成30年から簡易課税制度を適用する場合には、平成29年12月31日までに提出しておかなくてはなりません。

もし、平成30年1月1日以降に提出した場合には、平成31年からの適用になりますので十分注意してください。

 

基準期間の課税売上高

簡易課税により消費税を計算するためには、簡易課税制度選択届出書を提出していること、かつ、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることが求められます。

基準期間の課税売上高については、消費税法で厳密に規定されているのですが、ここでは2年前の売上高と考えてください。

 

つまり、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々期の売上高が5,000万円以下でなければ簡易課税制度を適用することができません。

適用を受けようとする年の2年前の売上高がいくらなのかをしっかり確認しておきましょう。

 

簡易課税制度を選択する3つのポイント

では、実際に簡易課税制度を選択した方がお得な事業者についてみていきます。

  1. 納付税額
  2. 事務負担
  3. 2年間の継続適用

の3つのポイントを確認してください。

 

納税すべき金額

1つ目のポイントは、納付すべき金額を安くすることができるかどうかです。

それを確認するためには、原則課税でも消費税を計算してみるしかありません。

しかし、原則課税により消費税を計算するためには、正確な会計帳簿の作成が求められます。

できれば、税理士にシミュレーションしてもらいましょう。

 

また、簡易課税制度による消費税の計算方法は、受け取った消費税にみなし仕入率を乗じて計算するという方法であるため、支払った消費税の割合よりも、みなし仕入率の方が高ければ消費税は安くなります。

一般的には、仕入・設備投資が少ないデザイナー、コンサルタントなどのサービス業の場合は、簡易課税を選択した方が消費税は安くなるケースが多いです。

 

事務負担の軽減

2つ目のポイントは、事務負担を軽減することができるかどうかです。

何度も説明しているように、原則課税による消費税の計算には、正確な会計帳簿の作成が絶対に必要です。

どのくらいのレベルの会計帳簿が求められるかというと、税理士が作成するレベル、つまりプロレベルの完成度が求められます。

具体的には、すべての仕訳・勘定科目について消費税の課税・非課税・対象外を設定するということです。

 

税理士もつけていないし、会計ソフトも利用していないのであれば、このレベルの会計帳簿を作成することは不可能です。

そのような場合には、原則課税により計算した方が消費税が安くても簡易課税を選択することをオススメします。

 

なぜなら、そのレベルの会計帳簿を作成するためには、

  • 事務負担の増大
  • 税理士報酬などの経費の増大

など余計な負担を強いられることになります。

 

簡易課税制度の選択により恩恵を受けることができるのは、税金の支払いだけではないということ覚えておいてください。

 

2年間の継続適用

3つ目のポイントは、2年間の強制適用期間について考えておくことです。

簡易課税制度は、一度選択すると最低2年間は継続して適用し続けなければなりません。

 

具体的には、1年目に簡易課税制度の特徴を活かして節税できたとしても、2年目において多額の設備投資をしたからといって原則課税により計算することはできないということです。

結果として、簡易課税制度を選択しない方が得であったということも十分にありえます。

 

簡易課税制度を適用するためには、適用を受けようとする年の前日までに簡易課税制度選択届出書を税務署に提出する必要があります。

つまり、簡易課税制度を適用しようとする年の前年に、その後の2年間の数字を予測してから決断しなければなりません。

 

簡易課税制度は、うまく利用することができれば、節税効果も高く、事務負担も軽減できます。

しかし、適用する前にしっかりとした計画を立てておく必要もあるのです。

 

まとめ

消費税の計算方法には、原則課税と簡易課税の2つの方法があります。

簡易課税により消費税を計算することのメリットとして、

  1. 計算方法が簡単であるため納税金額を予測しやすい
  2. うまく利用すれば節税効果が高い
  3. 事務負担を軽減することができる

などがあります。

 

しかし、実際に適用する場合には、

  1. 簡易課税制度選択届出書の提出
  2. 基準期間の課税売上高が5,000万円以下
  3. 2年間の継続適用

という条件も存在します。

 

これらについてよく検討してから適用するかどうかを考えるようにしましょう。

 

できれば税理士に相談して、シミュレーションしてもらってください。

サービスのご案内
新井勲税理士事務所では単発の個別相談税務調査の相談・立会いサービスも承っております。