法人を設立して消費税を節税する最良のタイミングとその方法

 

事業規模がある程度拡大していくと、「個人事業者ではなく法人を設立した方が節税できるよ」なんて話をよく聞くのではないでしょうか。

確かに個人事業者よりも法人の方が、節税対策も豊富に存在してその効果が高いことが多いです!

その中でも、最も高い効果を得ることができるのが消費税の節税であり、場合によっては数百万円の節税も可能です。

そこで今回は、法人を設立して消費税を節税するとはどういうことなのかを確認しながら、その効果や最良のタイミングを探っていきましょう!

計画的に実行すれば非常に高い節税効果を得ることができますので本当にオススメですよ。

法人の設立は消費税を節税する大チャンス!

 

消費税を納めるべき事業者とは

消費税の節税をするためには、まずどのような事業者が消費税を納める必要があるのかを理解しておく必要があります。

よく勘違いをされる方が多いところでもありますのでしっかりと確認しておきましょう。

消費税を納めるべき事業者とは、2年前の売上高が1,000万円を超えている事業者に限られます。

つまり、今年消費税を納めるかどうかは、2年前の売上高によって判定を行うということです。

消費税の納税義務の判定方法
  • 3年前の売上高 800万円
  • 2年前の売上高 1,200万円
  • 1年前の売上高 950万円
  • 今年の売上高 1,100万円

この場合、消費税の納税義務が発生するのは、売上高が1,000万円を超えた2年後である「今年」「再来年」だけということになり、今年の売上高がいくらなのかということは全く関係ありません!

このように消費税を納めるべきかどうかは、常に2年前の売上高をもとに判定するということをしっかりと理解しておきましょう!

 

法人を設立すれば最初の2年間は消費税が免税される

何度も言いますが、消費税は2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうかにより、その納税義務の判定を行うことになります。

では、新たに個人事業者として開業したり、法人を設立した場合など、そもそも2年前が存在しない場合はどうすれば良いのでしょう?

結論から申しますと、「2年前が存在しない=売上高は0円=消費税の納税義務なし」として扱って問題ありません!

これこそが、法人を設立すれば消費税を節税することができるということなのです。

つまり、法人設立1年目と2年目については、2年前がそもそも存在しませんので、原則的には消費税の納税義務は発生しません!

しかし、3年目以降は2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうかの判定を行う必要がありますので注意してください。

「消費税が2年間免除できるならすぐに法人を設立しよう!」と思った方、ちょっと待ってください。

2年前の売上高により消費税の納税義務判定を行うことはあくまで原則的な取り扱いであり、原則があれば例外も存在しますので、例外的な取り扱いについてもしっかりと確認しておきましょう!

 

資本金1,000万円

何度も説明しているとおり、消費税は2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうかによりその納税義務が確定しますので、新たに設立された法人は、原則的に設立から2年間は消費税を納める必要はありません。

しかし、資本金の額が1,000万円以上の法人については、設立1年目から消費税を納める義務が発生します!

個人事業者から法人成りする場合は、資本金の金額をオーナーの自由に決めることができますので、特別な事情がない限り、資本金の金額は1,000万円未満でスタートするようにしましょう。

資本金の額について

一昔前まで株式会社を設立するためには、資本金の額が最低1,000万円必要でしたし、有限会社でも最低300万円必要でしたが、平成18年に施行された新会社法により、資本金の額が1円であっても株式会社を設立することが可能になりました。

しかし、これは理論上可能というだけで現実的ではありません。

特にこだわりがないのであれば、100万円300万円など、会社設立に際して準備できる資金の範囲内で決めてしまうといいでしょう!

 

前年の上半期の売上高と給料

法人を設立して消費税を節税する場合に、資本金1,000万円未満の他に、もうひとつ注意しなければならないことがあります。

それは、2年前の売上高が1,000万円を超えていなくても、1年前の上半期の売上高と給料それぞれの金額が1,000万円を超えていれば、消費税を納めなければならないという新しい法律が、平成25年に施行されてしまったことです。

少しややこしいのですが、今回の法人を設立して消費税を節税するというテーマにおいては、設立1年目の最初の半年間の売上高と給料それぞれの金額が1,000万円を超えた場合は、2年目から消費税を納める必要があるということです!

個人事業者としてある程度の売上高があるときに法人を設立した場合などは、この規定に引っかかってしまうケースがありますので十分な注意が必要ですが、これについても対策は取れますのでご安心ください。

 

設立1年目を7ヶ月以下に設定

法人設立後の最初の半年間で売上高と給料それぞれの金額が1,000万円を超えてしまう場合は、設立1年目の事業年度を7ヶ月以下に設定してください。

なぜ7ヶ月以下なのかというと、消費税法において設立1年目が7ヶ月以下であれば、この判定を行う必要はありませんと規定しているからです。

これにより最短でも1年7ヶ月もの間、消費税を節税することが可能になりますので、設立してすぐに売上高や給料が上がる予定であれば、この方法は絶対に押さえておきましょう!

 

最良のタイミングを探ってみよう

法人を設立しての消費税の節税について考えておくべきこととして、

  1. 2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうか
  2. 資本金が1,000万円以上かどうか
  3. 設立1年目の上半期の売上高と給料が1,000万円を超えるかどうか

という3つのポイントを解説してきましたが、これらを踏まえて法人設立のタイミングを探ってみましょう!

 

最も節税効果の高いタイミングとは

個人事業者として事業を行なっている場合に、消費税の節税を目的として法人を設立する最良のタイミングとはどんなタイミングなのでしょう。

実際に数字を確認しながら、そのタイミングを探ってみましょう!

個人事業者として事業をしている場合
  • 平成25年 売上高400万円 納税義務なし
  • 平成26年 売上高800万円 納税義務なし
  • 平成27年 売上高1,200万円 納税義務なし
  • 平成28年 売上高1,400万円 納税義務なし
  • 平成29年 売上高1,600万円 納税義務あり
  • 平成30年 売上高1,500万円 納税義務あり
  • 平成31年 売上高1,700万円 納税義務あり

このように2年前の売上高が1,000万円を超えた平成29年より消費税の納税義務が発生します。

では、消費税の納税義務が発生する平成29年に法人を設立した場合はどうでしょう。

平成29年に法人を設立した場合
  • 平成25年 売上高400万円 納税義務なし
  • 平成26年 売上高800万円 納税義務なし
  • 平成27年 売上高1,200万円 納税義務なし
  • 平成28年 売上高1,400万円 納税義務なし

ここで法人設立!

  • 平成29年 売上高1,600万円 納税義務なし
  • 平成30年 売上高1,500万円 納税義務なし
  • 平成31年 売上高1,700万円 納税義務あり

このように同じ売上高であったとしても、消費税の納税義務が発生するのは平成31年からということになり、2年間の節税が可能になる!

ここまで確認したように、法人を設立しての消費税の節税で最も効果のあるタイミングは、売上高が初めて1,000万円を超えた2年後ということになります!

今回の例でいうと、平成25年から平成30年までの6年間、消費税を納める必要はありません。

また、個人事業者として起業して、順調に売上高が伸びてきている時にこそ、適切な節税を行い、少しでも多くの資金を確保しておくということが大切になってきます。

その意味でも、このタイミングが法人設立の最良のタイミングであると言えます。

 

タイミング次第ではかなりの節税効果が期待できる

消費税は、他の税金と比べて節税するのが非常に難しい税金です…

細かい計算の話は控えますが、108万円の経費を使っても8万円しか節税することができません!

8万円節税したとしても100万円もお金を失っていますので、一体なんのために節税しているのかよくわからなくなってしまいます。

これを『目的を忘れた無駄な節税』といいます…

節税の目的は余計な税金の支払いを減らしてお金を残すことです!

節税した結果、お金がなくなってしまってはいけません。

しかし、法人設立のタイミングを工夫することにより消費税を節税する方法は、お金を使わない節税として非常に有効な手段であり、節税が至難の技である消費税を節税できる数少ない方法の1つでもあります。

消費税の節税額は数百万円、場合によっては数千万円にも及ぶケースもありますので、しっかりとタイミングを見極めていきましょう!

消費税の計算方法・申告・納税などの基本をしっかりと押さえておこう

2017.11.27

 

まとめ

消費税は、2年前の売上高が1,000万円を超えているかどうかにより、その納税義務を判定します!

この特徴を活かした節税の方法として有効なのが、法人の設立ですが、設立に際しては以下の2点の注意が必要です。

法人を設立して消費税を節税するために注意すべきこと
  1. 資本金の額が1,000万円以上かどうか
  2. 設立1年目の上半期の売上高と給料それぞれの金額が1,000万円を超えているかどうか(超えているなら設立1年目を7ヶ月以下にすること)

これらの注意点を十分に考慮して、法人設立の最も効果的なタイミングを探ってみましょう。

売上高が順調に伸びているならば、売上高が初めて1,000万円を超えた2年後が最良のタイミングですので、ぜひ前向きに法人設立を検討してみましょう!

法人を設立するとできる5つの節税対策を税理士が徹底的に解説します

2017.08.03
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