確定申告で節税をやり過ぎた結果がもたらす5つのリスクについて

 

よし、うまく節税できたから税金を払わなくて済んだ!

経営者にとって節税は非常に興味・関心のあることであり、うまく節税できたならこんなに喜ばしいことはありません。

しかし、税理士の立場から言わせてもらうと「そんなに節税ばっかりして大丈夫?」という疑問を持たざるを得ません…

節税の目的は税金の支払いを減らしてお金を残すことです。

この本来の目的を見失ってしまうと節税のやり過ぎによる5つのリスクに晒されることになってしまいます。

 

節税の基本的な仕組みについて

節税するということは課税される所得を減らすということであり、課税される所得とは『収入ー経費』のことです。

つまり、節税するためにやらなければならないことは、

  1. 収入を減らす
  2. 経費を増やす

この2つに絞られるというわけです。

課税される所得を減らすことができれば税金の支払いを減らすことができますので節税が成功したということになります。

これが節税の基本的な仕組みであり、所得が高い人ほど税金は高くなり、所得が低い人ほど税金もやすくなります。

したがって、節税すればするほど所得が低くなるということです!

節税はお金を残すためのひとつの手段であり決して目的にはならない

2017.10.18

 

節税のやり過ぎがもたらす5つのリスク

節税すればするほど所得が低くなるのが節税の基本的な仕組みであり、事実です…

節税をやり過ぎれば税金の支払いを減らすと同時に所得も減らしてしまうということを考えておかなければなりません。

そして、節税をやり過ぎた結果として所得が低くなることによるリスクに晒されることになってしまいます。それが次の5つです。

節税のやり過ぎによる5つのリスク
  1. お金がなくなる
  2. 住宅ローンの審査に落ちる
  3. 事業融資の審査に落ちる
  4. 税務調査で税務署に疑われる
  5. 税金のことが気になって仕方がない

それでは、これら5つのリスクについて順番に確認していきましょう。

 

お金がなくなる

節税するということは課税される所得を減らすということですが、それと同時にお金を減らしてしまうということに気づかなければなりません。

節税の基本的な仕組みとして、収入を減らすか、経費を増やすかしなければなりませんが、どちらもお金が減ることに変わりはありません…

あなたは節税大好きなAさんと、節税を全くしなかったBさん、どちらを選びますか?

節税大好きAさん
  • 収入 1,000万円
  • 経費 500万円
  • 節税するための経費 200万円
  • 税金(1,000万円-500万円-200万円)× 税率30% = 90万円
  • 残ったお金 1,000万円-500万円-200万円-90万円 = 210万円
節税を全くしなかったBさん
  • 収入 1,000万円
  • 経費 500万円
  • 節税するための経費 0円
  • 税金(1,000万円-500万円-0円)× 税率30% = 150万円
  • 残ったお金 1,000万円-500万円-0円-150万円 = 350万円

節税の本当の目的はお金を残すことであるにも関わらず、節税すれば絶対にお金はなくなっていきます!

この事実を知らない人が本当に多いです…

節税大好きAさんが、節税のために使った経費200万円が将来の事業への投資であるならば立派な節税対策なので全く問題ありません。

しかし、今年の税金の支払いを減らしたいがために無駄遣いをしているのであれば本末転倒としか言いようがありません。

節税を続けてしまうとお金がなくなっていくということを知っておきましょう。

 

住宅ローンの審査に落ちる

節税をやり過ぎると住宅ローンの審査に落ちてしまいます!

住宅ローンの審査を受けるためには所得証明を提出しなければなりません…

所得証明には所得金額が記載されているため、節税をしていると所得金額が低くなってしまいます。

所得が低ければ住宅ローンの審査に通ることはできませんので、夢のマイホームを手に入れることはできません。

一般的な目安でいうと、住宅ローンの年間返済額の3倍以上の所得は必要であると考えられています。

ローンの返済額が年間150万円だとすると、150万円×3=450万円ぐらいの所得は必要になってくるというわけです。

しかも、サラリーマンに比べると個人事業者は安定性が低いとみなされるため、審査が厳しくなる傾向にあります…

もし住宅ローンを組んでマイホームの購入を考えているなら、節税は控えた方がいいでしょう。

他にも住宅ローンの審査と同じ考え方をするものがありますので十分に注意しておきましょう!

  • クレジットカードの審査
  • 自動車ローンの審査
  • 賃貸物件の入居審査

 

事業融資の審査に落ちる

節税をやり過ぎると事業融資の審査に落ちるため銀行からの借入ができなくなります!

理由としては住宅ローンと同様です。

節税のやり過ぎでお金が少ないと返済能力がないものとみなされてしまいます…

事業を継続していくために最も大切なことは、利益を計上することよりもお金を持っていることです。

たとえ毎年赤字を垂れ流していたとしても、お金があればなんとかなります。

そのお金の貴重な調達手段を潰してしまうことは非常に重大なリスクを負うことになってしまいます。

目先の節税にとらわれて、中長期的な資金調達のチャンスを逃すことのないようにしましょう。

 

税務調査で税務署に疑われる

節税をやり過ぎて所得を減らしてしまうと、税務署に疑われる可能性があります!

税務署は、この業種、この規模であれば、大体これぐらいの所得はあるだろうというデータを持っています。

ですから「不自然に所得が少ない」という状況を絶対に見逃してはくれません…

もし不正により所得を減らしているようであれば、厳しい追及をされることが予想されます。

しかし、これはあくまでも無理な節税を続けた結果であり、適切な節税をすることには何の問題もありません。

ただし、税務署というのは疑うことが仕事の1つでもありますので、節税すればするほど監視の目が厳しくなるということは知っておいてよいでしょう。

 

税金のことが気になって仕方がない

最後に、節税すればするほど税金のことが気になって仕方がないというリスクについても話しておきます。

税理士として日々お客様のお話を聞かせていただいていると、積極的に節税したいと考えているお客様ほど常に税金のことを考えています…

しかも、税金のことを詳しく知ろうとするのではなく、どうすれば税金を支払わなくて済むかということばかり考えています。

税金のことで頭がいっぱい
  • この経費を使えば税金がいくら安くなるか
  • 年度末に納品してしまうと税金が高くなるから、翌年になるように得意先に交渉してみよう
  • 税金を払っても何に使われるかわからないし払いたくない

などなど、考えなくてもいいことばかりを考えてしまっています。

これって相当しんどくないですかね?

私は、好きな仕事をして、たくさん儲けて、たくさん納税して、たくさんお金がある方がいいですし、お客様もそうであってほしいと願っています。

この国で事業活動するなら納税は絶対に避けることはできませんし、一個人が考えても仕方のないことまで考える必要はありません。

節税ありきで事業をするよりも、事業の結果としての納税・節税を考えるようにしましょう。

 

節税に裏技はなく、節税しない方がお金は貯まる

このような話をすると、税理士なのに節税の方法を教えてくれないのか!と勘違いされるかもしれませんが、節税に裏技は存在しません!

節税の方法はいくつもありますが、数は限られていますし、原則的にはお金が減ってしまうというのが事実です…

また、よく知られている節税方法の多くは課税の繰り延べでしかなく、税金を安くするのでなく、税金を支払うタイミングをズラしているに過ぎません。

そして、税金を支払うタイミングを遅らせれば遅らせるほど、お金が貯まるタイミングも遅くなってしまいます。

節税大好きAさんより、節税を全くしなかったBさんの方がお金が多かったはずです。

節税に裏技はありませんし、節税しない方がお金は早く貯まっていきます!

お金を残して事業を安定させるために節税をしないという選択

2017.11.16

 

まとめ

余計な税金の支払いを減らして少しでもたくさんのお金を残すための節税は積極的にしていくべきです!

しかし、お金を減らしてまで節税をやり過ぎてはいけません…

節税のやり過ぎにより所得が低くなり様々なリスクを負うことになってしまいます。

節税のやり過ぎによる5つのリスク
  1. お金がなくなる
  2. 住宅ローンの審査に落ちる
  3. 事業融資の審査に落ちる
  4. 税務調査で税務署に疑われる
  5. 税金のことが気になって仕方がない

節税することはよいことですが、やり過ぎると思わぬ落とし穴に落ちてしまいますので十分に注意しておきましょう。

サービスのご案内
新井勲税理士事務所では単発の個別相談税務調査の相談・立会いサービスも承っております。