中小企業の社長として3つの視点から5つの出口戦略について考える

 

法人の目的は、事業を安定して継続させながら、利益を上げていくことです。

そのためには、少しでも多くのお金を残していく必要があります。

 

しかし、多少お金を使ってでも、社長としてそれなりの車に乗ったり、税金の支払いを抑えたいと考えるのはやむを得ないことです。

このような気持ちは本当によくわかりますし、理解もできます。(誰だって社長になったらベンツの1台や2台欲しいものです!)

 

それでも、いつまでもそんなことを続けていてはいつか会社がダメになってしまいます。

 

中小企業の社長には、3つの視点から、5つの出口戦略を考えて、それをもとに計画的に行動してもらう必要があります。

 

これらについて明確に答えを出すことで、法人として目指すべき方向性がはっきりとするため、あらゆる場面で判断に迷うことがなくなります。

今一度、法人をどこに向かわせたいのかということを考えてみてください。

 

中小企業の社長に求められるもの

中小企業の社長に求められるものは多いです。

マネージャーとしてはもちろん、時には1人のプレーヤーとしての力量も問われることになります。

 

しかし、これらはビジネスを円滑に回していくために必要な能力であり、その法人の社長兼オーナーとしてはもっと別の能力が必要になります。

 

それが、3つの視点があることを理解して、5つの出口戦略を考えることです。

 

 3つの視点

  1. 経営者
  2. 個人
  3. 投資家

 

 5つの出口戦略

  1. 上場
  2. M&A
  3. 事業承継
  4. 清算
  5. 破産

 

中小企業は、『どの視点から法人を見て、どの出口戦略を目指していくのか』ということ明確にしておくべきです。

 

なぜなら、それぞれの立場によりとるべき行動が全く異なってくるからです。

 

 

どの視点から法人を見るのか

まずは、どの視点から法人を見るのかについて確認していきましょう。

それぞれの立場により、求めるものが全然違います。

 

経営者

経営者が第一に考えることは、事業を安定して継続させていくことです。

そのためには、売上や利益を追い求めながら、資金繰りなどにも常に気を配っておく必要があります。

そして、その法人の財産・人を守るということが重要な仕事になってきます。

 

しかし、経営者としての立場を重視してしまうと、どうしても法人をうまく回していくことに気を取られます。

 

「お金をたくさん残したいけど、税金を払いたくないから節税もしたい!」

「法人と個人の税率差を利用して、上手に節税したい!」

 

これらの気持ちは本当によくわかるのですが、「個人」や「投資家」としての視点と比べると、どうしても中途半端な動きになってしまいます。

 

個人

個人としての視点で法人を見た場合に、最も優先すべきことは、いかにして法人の財産を個人の物にするかとういことです。

 

そのための一番手っ取り早い方法が、役員報酬として法人から給料をもらうことです。

 

所得税と法人税の税率差なども気にせず、会社の利益はそこそこに抑えておいて、全て個人に還元していきます。

 

投資家

投資家として、法人に最も期待することは、株価を上昇させることです。

株価を上昇させるためには、利益を計上していくしかありません。

 

毎年しっかりと利益を計上して、それなりの納税を果たして行かない限り、株価を上昇させることはできません。

 

つまり、投資家としての立場を重要視すると、「経営者」や「個人」の立場と真っ向から対立してしまうことになってしまいます。

 

なぜなら、経営者として節税することも、個人に全て還元することも、その法人のお金を減らしてしまう行為になってしまうため、投資家としては絶対にして欲しくないことだからです。

そして、多くの中小企業の社長が、自身の法人に対して投資家としての目線を持ち合わせていません。

 

その法人の出口戦略次第では、投資家としての立場を何よりも優先させなければならないこともあります。

 

どのような出口戦略をとるのか

法人の出口戦略には、5つの戦略がありますが、実質的に中小企業がとることのできる戦略は「M&A」「事業承継」です。

そして、どっちの戦略をとるかによって、どの視点に立って法人を見るべきなのかということを明確にすることができます。

 

M&A

M&Aをするためには、その法人を買収するほどの価値のある法人にしなければなりません。

 

つまり、法人の株価を上昇させていく必要があります。

 

株価を上昇させるためには、投資家としての視点で法人を見て、利益を計上しながら、しっかりと納税して、その法人にキャッシュを増やしていくことを考えるべきです。

そのためにも、「経営者」や「個人」としての願望は抑えて、法人にお金を残していくことを考えていきましょう。

 

そして、M&Aをするために最も大切なことは、その法人を買ってくれる人を探すことです。

この戦略は、法人を買ってくれる人がいなければ成立しません。

 

今すぐ見つける必要はありませんが、そのつもりで準備を進めておきましょう。

 

もし仮に、M&Aが成立しなくても、この方向性で進めておくことによるメリットは大きいです。

しっかりと株価が上昇していれば、法人の清算することも簡単ですし、債権債務を整理して残ったお金については、株主に対する配当金になります。(債務超過の状態では、なかなか法人を清算することができない!)

 

配当金は所得税が課税されてしまいますが、最終的に法人を綺麗に畳むことができ、いくらかお金が残るなら、決して悪くない選択です。

 

事業承継

事業承継をするためには、その法人の株価をある程度コントロールしていかなくてはなりません。

利益を計上して、お金を増やし続けると、株価が上昇しすぎて、円滑に事業承継を進められなくなってしまいます。

 

かと言って、無駄な節税をしたりしてお金を減らしてしまっては、たとえ身内であったとしても、その法人を引き継いでくれなくなります。

私なら、財務内容の良くない法人など引き継ぎたくはありません!

 

ですから、事業承継を出口とするならば、3つの視点それそれの立場から法人を見守り、上手にバランスをとっていく必要があります。

 

しかし、昨今の日本経済を鑑みると、事業承継は非常に難しいと思われます。

まず、親の仕事を子供が引き継ぐことが珍しいですし、後継者候補にも、それぞれの仕事・生活が存在します。

 

事業承継を既定路線として早くから準備できないのであれば、M&Aの方向に舵を切っておくべきではないでしょうか。

 

まとめ

中小企業の社長には、3つの視点が求められます。

  1. 経営者
  2. 個人
  3. 投資家

なぜなら、その法人の出口戦略を考えるためには、社長として、どの視点から法人を見るかが非常に大切だからです。

 

また、中小企業の場合は「投資家」としての視点を忘れがちです。

中小企業が実質的にとることができる出口戦略としては、

  1. M&A
  2. 事業承継

この2つしかありません。

 

そして、中小企業の後継者が簡単に見つからないことを考えると、「投資家」としての視点を持って「M&A」を考えざるを得ないのが現実です。

結果として、M&Aはできなかったとしても、株主にお金は残ります。

 

中小企業の社長には、この辺りのことまで考えて、普段の決算・節税対策、財務戦略に取り組んでもらいたいと思います。

 

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