法人化(法人成り)のメリット・デメリットについて考えてみよう

 

個人事業者・フリーランスとして事業を続けていると、どこかのタイミングで法人化(法人成り)を考える時がやってきます。

しかし、その法人化についてきちんとした理解がないまま話を進めるのはよくありません。

 

法人化することによるメリット・デメリットを知った上で、計画的に行動していかなければなりません。

 

今回は、法人化のメリット・デメリットについて確認しながら、法人化を検討すべきタイミングについても考えていきましょう。

 

法人化(法人成り)する前に考えておくべきこと

法人化(法人成り)する前にまず考えて欲しいことがあります。

 

それは、あなたの事業を今後どのように展開していきたいのかということです。

 

  • どんどん人を雇って事業を大きくしていくのか
  • それとも自分の目の行き届く範囲で活動していくのか
  • 将来的には後継者を育てて事業を譲るのか

 

まずは、このような大きな方針を決めてください。

そこから法人化が、その方針と合っているのかどうかを検討していきます。

 

実際に、法人化のメリット・デメリットを確認しながら、どうすればうまく事業を展開することができるのかを考えてみましょう。

 

法人化のメリット

社会的な信用力がある

法人化することの最大のメリットとして考えられるのが、個人事業者と比べて社会的な信用力があるということです。

最近でこそ、フリーランスという働き方の認知度も高まってきていますが、やはり法人の方が信用力があるのは事実です。

 

実際に私のお客様で、個人事業者のままでは取引してもらえないので法人化したというお客様もいらっしゃいます。

また、法人の方が金融機関からの融資を受けやすかったり、法人でないと受け取ることができない助成金なども存在します。

 

それほどまでに法人化するということに社会的な信用力があるというわけです。

 

節税対策が豊富である

個人事業者と比べると、法人の方が圧倒的に節税対策が豊富です。

具体的には、法人を設立するとできる5つの節税対策を税理士が徹底的に解説しますという記事で詳しく解説していますが、とにかく個人事業者よりも対策しやすいことは確かです。

 

また、個人事業者の最高税率は所得税・住民税・事業税を全て合算すると60%になりますが、法人の最高税率は40%弱に設定されています。

 

このように税金に関しては、法人化した方が圧倒的に有利なのです。

 

社会保険に加入することができる

法人化すれば、経営者自身も社会保険に加入することができます。

社会保険料を個人と法人で折半できますし、将来受け取ることができる年金の額も増やすことができます。

 

また、経営者の家族も加入することができるのも大きな魅力のひとつです。

 

法人化して社会保険に加入することで将来の備えにもなり得るということです。

 

決算月を自由に選択することができる

個人事業者の事業年度は、1月1日〜12月31日までの1年間であり、翌年3月15日までに確定申告をしなければなりません。

しかし、法人は事業年度を自由に選択することができます。

 

つまり、繁忙期などのタイミングを考慮して、じっくりと決算・申告業務に取り組めるというわけです。

 

法人の事業年度を決める前に絶対に考えて欲しい3つのことで詳しく解説していますが、事業年度を戦略的に決めることで、無理のない余裕のある資金繰りを実現して経営を安定させることができますので法人化の大きなメリットと言えます。

 

退職金を支給することができる

法人化することにより、将来経営者自身に退職金を支給することも可能になります。

個人事業者のままでは、そもそも退職という概念すらありません。

 

法人化して退職金を支給することで、

  • 引退後のお金の不安を軽減することができる
  • 退職金は税法で優遇されているため、節税効果も高い

という大きなメリットがあります。

 

ずっと先の話にはなってしまいますが、個人事業者のままでは絶対にできないことです。

積極的に利用していくべきものでしょう。

 

法人化のデメリット

法人設立時に費用がかかる

個人事業者として事業を開始する場合に何か費用が発生することはありません。

しかし、法人を設立するためには登記の手続きを行う必要があり登記費用が発生することになります。

 

自分自身で調べて処理することも可能ではありますが、一般的には司法書士にお願いすることになり、20万〜30万円の費用がかかってしまいます。

 

法人化するのであれば、最初に登記費用がかかるということをしっかりと認識しておきましょう。

 

事務負担が増大する

法人化することで確実に事務負担が増大します。

 

個人事業者として青色申告していたのであれば、普段の事務作業に大きな違いはありません。

しかし、決算となるとそういうわけには行きません。

 

個人事業者であれば、なんとか自分で確定申告をすることは可能でしたが、法人の決算・申告を自分でするのは実質的には不可能です。

提出しなければならない書類も多く、専門的な知識がないと作成することができません。

結局は、税理士に依頼することになってしまうでしょう。

 

税理士に依頼するにしても一定の事務負担はかかりますし、費用もかかってしまいます。

これらは法人化することの典型的なデメリットと言えるでしょう。

 

社会保険に強制的に加入しなければならない

社会保険の加入については、法人化のメリットでもあり、デメリットでもあります。

メリットとしては経営者自身が社会保険に加入することができるということでしたが、デメリットとしては従業員の社会保険に強制的に加入しなければならないということです。

 

よく考えてみてください。

社会保険料は、本人と会社が半分ずつ費用負担します。

従業員の人数が少なければさほどの負担にはならないかもしれませんが、これが数十人規模になるとものすごい金額になります。

 

従業員数、給料の金額が増えれば増えるほど、法人が負担すべき社会保険料も増大していきます。

実際に、社会保険料を支払うのに苦労している法人は多く、資金的な余裕がない中小企業にとって、社会保険料の負担は死活問題になる可能性を秘めているのです。

 

法人化して従業員を増やしていくのであれば、このことを前もって覚悟しておかなくてはなりません。

 

赤字でも税金を支払わなければならない

法人として決算・申告をする際には、赤字であっても支払わなければならない税金があります。

それが、均等割という地方税です。

 

金額は会社の規模により変わってきますが、最低でも年間7万円ほどの税金がかかってしまいます。

さほど多くはありませんが、10年、20年と払い続けていくことを考えると大きな負担になります。

 

法人化すれば、均等割という絶対に支払わなければならない税金があるということを知っておいてください。

 

税務調査の可能性が高まる

法人化すれば、税務調査に入られる可能性が高くなります。

一般的に、法人化すれば事業規模が大きくなるため当然と言えば当然のことです。

 

しかし、秋は税務調査の時期ですが実際に入るタイミングは誰にもわからないで解説していますが、実際に税務調査に来るかどうかは誰にもわかりません。

税務調査に入られたくないからという理由で法人化を諦めてしまうのは変ですし、そもそも不正をしていないのであれば税務署は怖くないはずです。

 

法人化することにより税務調査の可能性が高くなるということだけはしっかりと認識しておきましょう。

 

法人化を検討すべきタイミングとは

ここまで、将来の事業展開のことを考えながら、法人化のメリット・デメリットを確認してもらいました。

では実際に法人化するのであれば、どのタイミングが望ましいのでしょうか。

 

以下の3つのタイミングが、法人化を検討するきっかけになります。

 

 法人化を検討すべき3つのタイミング

  1. 売上高が1,000万円を超えたとき
  2. 所得金額が500万円を超えてきたとき
  3. 事業を拡大していくとき

 

売上高が1,000万円を超えたとき

まず、売上高が1,000万円を超えたあたりで一度法人化を検討してみましょう。

なぜなら、消費税と税理士の問題が発生するからです。

 

消費税は、売上高が1,000万円を超えた2年後から納税義務が発生します。

しかし、そのタイミングで法人化すれば消費税を支払う必要が無くなります。

法人を設立して消費税を節税する最良のタイミングとその方法

 

また、法人化すれば税理士は絶対に必要になってきます。

消費税、決算・申告、税務調査などなど、自分自身では対処できないことが増えてきます。

だからと言って顧問契約を結ぶ必要はありません。

信頼できる税理士に相談するということが大切です。

税理士の敷居は高くない!気軽に何度でも単発で相談できる

 

売上高が1,000万円を超えると、これらの問題が集中してきますので、法人化してスッキリさせるのもいいでしょう。

 

所得金額が500万円を超えてきたとき

次に、個人事業者としての所得金額(売上から全ての経費、控除できるものを差し引いた金額)が500万円を超えてきたタイミングでの法人化もオススメです。

 

個人事業者としての所得金額が400万円を超えたあたりから、法人化した方が税金はやすくなります。

そして、法人化に伴う様々な経費や手間などを考えると、所得金額500万円を超えているのであれば、法人化のメリットを十分に活かすことができます。

 

毎年コンスタントに500万円ほどの所得金額が見込めるのであれば、ぜひ法人化を検討してみましょう。

 

事業を拡大していくとき

最後に、事業を拡大していくときにも法人化はオススメです。

なぜなら、法人化することにより社会的な信用力を高めることができるからです。

 

事業を拡大していくためには、

  • たくさんの得意先と取引する
  • 優秀な人材を確保する

ということが欠かせません。

 

これらを実現するためにも、法人化してしっかりと社会的な信用を高めていきましょう。

 

まとめ

法人化するのであれば、まずは事業をどのように展開していくのかを考えなければなりません。

そして、その目的に沿った形で法人を経営していくためにも、法人化のメリット・デメリットをしっかりと押さえておきましょう。

 

法人化のメリット・デメリットを十分に理解した上で、法人化のタイミングを間違わなければ、あなたの事業はきっとうまくいきます。

 

そして、相談しやすい信頼できる税理士もこのタイミングで探しておきましょう。

 

『正確な知識を得て計画的に行動すれば物事は必ず成功する』と私は思っています。

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