平成29年分の年末調整のポイントはマイナンバーの管理運用

 

12月も中旬、年末調整は順調に進んでいますか?

当事務所でも少しずつ処理を進めているところです。

そして、平成29年の年末調整も去年に引き続いてマイナンバーを管理・運用する必要があります。

まだまだマイナンバーの取扱いについて業務フローが定まっていない事業者が多いため、それに関する質問をよくいただきます。

そこで、平成29年の年末調整に関する質問の中からマイナンバーに関する質問について、いくつか共有したいと思います。

 

年末調整で発生するマイナンバーに関する問題

扶養控除等(異動)申告書を使ってマイナンバーを管理している

年末調整の時に必ず作成する「扶養控除等(異動)申告書」でマイナンバーを管理して問題はないか?

年末調整では、従業員に「扶養控除等(異動)申告書」を記載してもらいます。

そこには懇切丁寧に本人のみならず扶養家族のマイナンバーを記載する欄が設けられているため、これをマイナンバーの管理簿として扱いたいと考えるのは至極当然のことであります。

結論としては、「扶養控除等(異動)申告書」に『提出年月』を記載すれば、マイナンバーの管理簿として運用して構いません。

ただし、この方法を毎年繰り返していると、年々管理すべき帳簿が増えてしまうことになります。

この方法は従業員のマイナンバーを収集することは簡単ですが、管理が難しいということに気をつけておく必要があります。

 

マイナンバー情報をその都度収集・廃棄している

マイナンバーを管理するのが難しいため必要に応じて情報を収集して、その都度廃棄しているが問題はないか?

比較的規模の小さい事業者では、マイナンバーを管理することが難しいため、このような対応をしていることも多いようです。

マイナンバーの管理については、情報を漏洩・紛失した場合に問題が生じます。

したがって、必要に応じて収集・廃棄しても何も問題はありません。

しかし、年末調整の「扶養控除等(異動)申告書」でこれをしてはいけません。

なぜなら、「扶養控除等(異動)申告書」についてはマイナンバーに関係なく、その保存が義務付けられているからです。

結局のところ、年末調整においてマイナンバーを管理しようとすると、管理すべき書類が年々増えていってしまうことになります。

 

マイナンバーに関する業務を税理士に丸投げしている

マイナンバーを適切に管理する自信がないので、税理士に丸投げしても問題はないか?

マイナンバーに関する相談相手として一番多いのが税理士です。

年末調整はもちろん、給与計算や社会保険事務に至るまで、税理士がマイナンバーを運用する機会は多いです。

しかし、マイナンバー法では事業者が適切に管理・運用しなければならないこととされており、税理士に責任を押し付けるようなことがあってはいけません。

マイナンバーの管理・運用については、税理士との間で「特定個人情報等の取扱いに関する規定」を設けるなどの対策をとっておきましょう。

 

マイナンバー情報をスキャナで読み取りPDFで管理している

マイナンバーを紙で管理するのが大変なので、スキャナで読み取りPDFで管理しているが問題はないか?

マイナンバーを紙で管理する一番の方法は「金庫の中に厳重にしまっておく」ことです。

しかし、従業員の数が多い場合や「扶養控除等(異動)申告書」でマイナンバーを管理する場合には、一定の保管スペースが必要になってきます。

そこで、マイナンバーをスキャナで読み取りPDFにて管理する方法が考えられるわけです。

マイナンバーの管理については、紙にて保存しなければならないという決まりはないため、PDFによる保存も認められます。

ただし、パソコンのログイン・PDFファイルの開封にパスワードを付与するなどのセキュリティ対策は必須となります。

 

マイナンバーを管理・運用する上で注意すべきこと

マイナンバーの管理・運用が始まって2年、まだまだ定着していないことも多いですが、それなりの対策は考えられます。

ここからは、当事務所でも実際に導入しているマイナンバーの管理・運用方法を紹介したいと思います。

 

マイナンバー帳簿を作成する

当事務所では、お客様に「マイナンバー帳簿」の作成をオススメしています。

マイナンバーを管理するのに「扶養控除等(異動)申告書」を使うと、後々の管理が大変になってしまいます。

「マイナンバー帳簿」を作成して、そのあとの管理を楽にしていきましょう。

マイナンバー帳簿に記載すべき事項
  1. 提出者本人・控除対象配偶者・控除対象扶養親族の氏名、住所、マイナンバー
  2. マイナンバー帳簿の作成に当たり提出を受けた申告書の名称「扶養控除等(異動)申告書」
  3. 上記申告書の提出年月

 

扶養控除等(異動)申告書にはマイナンバーを記載しない

「マイナンバー帳簿」を作成するために、一度は「扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。

しかし、毎年これを提出してもらうと管理が大変ですので、2年目以降は「扶養控除等(異動)申告書」にマイナンバーは記載しないこととします。

そうすることにより、わざわざ金庫に厳重に保管しなくてもよくなりますし、情報漏洩のリスクも減らすことができ、マイナンバーの運用が一気に楽になります。

 

情報の漏洩には細心の注意を払う

マイナンバーの管理・運用で難しいのは、いかにして情報漏洩を防ぐかということです。

当事務所では、お客様に合わせて対応をしていますが、基本的にはアナログとデジタルを融合させて管理・運用しています。

 

まず、お客様には「マイナンバー帳簿」を作成してもらい、それを厳重に保管してもらいます。(紙、PDFどちらでもOK!)

そして、年末調整の際にはマイナンバーを記載していない「扶養控除等(異動)申告書」及び「マイナンバー帳簿の写し or データ」を提出してもらいます。

ここでのポイントは、当事務所で預かるのは「マイナンバー帳簿の写しor データ」であること!

紙での提出であれば、あくまでも写しに過ぎないので年末調整の処理が終わり次第、私が責任を持って廃棄することとしています。

また、データで提出いただく場合は、私しかログインできないPC・ソフト・領域に保存することとしています。

 

このようにアナログとデジタルの方法をうまくミックスして、情報漏洩には細心の注意を払うようにしています。

 

まとめ

平成29年の年末調整においては、いかにしてマイナンバーを管理・運用するかがポイントになってきます。

ですが、マイナンバーの管理・運用については、まだまだ周知徹底されていないことも多いため十分な注意が必要です。

個人事業者や中小企業は、大企業のようにマイナンバーを管理するためだけの高額なシステムを導入することはできませんので、創意工夫によって上手に管理・運用していかなければなりません。

今回取り上げた問題や当事務所のマイナンバーの管理・運用方法が、少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。

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